概要

Honeywell Corrosion Solutionsでは、以下の3つのソリューションを用意しています。

  • お客様の設備に使用される適切な金属及び非金属材料の選択の支援
  • コロージョン対策へのコストの削減
  • 設備のより効率的な管理

熱力学とモデリング

コロージョン予測ソフトウェア

Honeywell Corrosion Solutionsのラボでは、コロージョンと熱力学に関わるモデリングチームが、その腐食に対応する能力を更に向上させています。pH、ガス濃度、化学塩化物塩含有量、等、クリティカルなパラメータを、目標とされている環境に到達させるための詳細な荷重負荷条件の決定には、複雑なモデルが応用されています。

同モデリングチームは、ジョイント インダストリー プログラム (JIP) を介して、石油ガス生産環境に向けたPredictおよびSocratesのようなコロージョン予測、金属材料選定ソフトを、また、石油精製プロセスにおける系や装置に特化したPredictシリーズの腐食予測ソフトウェアを開発し、お客様にご利用いただいています。

同モデリンググループからは、代表的なものとして以下のようなコロージョン予測ソフトが用意され、お客様に使用いただいています。

石油ガス生産向け腐食関連ソフトウェア

石油ガス生産向け腐食関連ソフトウェアには、PredictとSocratesの2つのプログラムがあります。

  • Predict
    Predictは、石油ガス生産環境におけるシステムの腐食性評価に対する階層的アプローチを提供し、CO2やH2Sを含む生産および搬送の環境における炭素鋼の腐食予測および炭素鋼と5種の金属材料 (焼鈍された13Cr鋼、高温で焼戻された13Cr鋼、デュプレックス2205、316SSおよびインコロイ825) のサンド (砂) エロージョンの予測を実行します。
    また、PredictはCO2環境におけるTCL (Top of the Line Corrosion) の評価を行います。

    Predictのインターフェース画面: 環境変数入力および予測された炭素鋼の孔食可能性と腐食速度の表示例

    Predictによるパイプラインのプロファイル評価、および、入口/出口、坑底/石油井口のデータを示す画面の例

  • Socrates
    Socratesは、石油ガス生産システムにおける搬送ライン、ダウンホール、ウェルヘッドおよびフローラインのような、炭素鋼が適用できない場所への耐食合金の応用に対し、適切な耐食合金材料を選定するためのソリューションを提供します。

    Socratesプログラムのインターフェース画面: 特定された環境変数入力に対する使用可能な金属材料リスト (右端) の表示例

    Socratesプログラムによる、特定の環境とアプリケーションへの材料選定リストの同時解析結果の表示例

石油精製プロセス向け腐食予測ソフトウェア

石油精製プロセス向けの腐食予測ソフトウェアは、石油精製プロセスの系や装置の腐食を予測することにより、設備管理や運転管理に利用され、腐食損傷による予期せぬ設備のシャットダウンを回避しつつ、より安全で、効率的、経済的な設備の管理と運転を支援します。

  • Predict-SW (Sour Water)
    Predict-SW は、石油精製プロセスでのH2S や NH3が支配的なアルカリサワーウォーター系における、流動様式の特性評価および壁面せん断応力の統合された、NH4HS濃度、H2S分圧、シアン化物含有量、温度、ハイドロカーボン含有量、および化学処理剤のような、重要な環境パラメータの関数としての腐食を予測定量化する決定支援モデルです。

    Predict-SWプログラムのインターフェース画面: 腐食予測に必要な情報の入力画面の表示例

    Predict-SW プログラムのインターフェース画面: 計14種の金属材料に対する腐食速度予測値の表示例 (出力)

  • Predict-Amine
    Predict-Amineは、ガスプラントや製油所におけるアミン装置での、溶液タイプ (MEA, DGA®, DEA およびMDEAの4種)、H2S負荷、CO2 負荷、温度、熱安定アミン塩 (不純物)、および、多相流体力学上のパラメータのようなクリティカルな環境要素の関数としてのアミン (リッチアミンおよびリーンアミン) 系における腐食を予測定量化する決定支援モデルです。

    Predict-Amineプログラムのインターフェース画面: 腐食予測に必要な情報の入力画面の表示例

    Predict-Amineプログラムのインターフェース画面: 予測された5種の金属材料の腐食速度の出力画面の表示例

  • Predict-Crude
    Predict-Crudeは、石油精製プロセスの蒸留装置系でのナフテン酸と硫化物に支配された系におけるTAN / NAT (Total Acid Number / Naphthenic Acid Titrant)、温度、水素含有量、流動様式、およびせん断応力の関数としての腐食性を予測定量化する決定支援モデルです。
    Predict-Crudeによる蒸留装置の各留分の腐食速度を予測する機能を用いて、原油を蒸留装置に投入する前に蒸留装置への腐食損傷を予測確認することにより、腐食損傷のリスクを回避しながら、より重質なスポット原油のブレンディング処理も支援します。

    Predict-Crudeプログラムのインターフェース画面: 腐食予測に必要な情報の入力画面の表示例

    Predict-Crudeプログラムのインターフェース画面: 予測された8種の金属材料の腐食速度を示す出力画面の表示例

    Predict-Crudeの原油アッセイのインターフェース画面の表示例
    (Predict-Crudeでは、原油アッセイの情報も入力します。)

    Predict-Crudeによる異なるブレンド原油の各留分に対する予測腐食速度 (炭素鋼) を比較する画面の表示例

  • Predict-SA
    Predict-SAは、石油精製プロセスにおける、硫酸アルキレーション装置での流動領域と壁面せん断応力の解析を統合した、腐食と、温度、硫酸、酸可溶性オイル (ASO) および炭化水素濃度のようなクリティカルな環境パラメータとの関係を対象とする、炭素鋼と耐食合金 (CRA) の腐食を予測定量化する決定支援モデルです。

    Predict-SAプログラムのインターフェース画面: 腐食予測に必要な情報の入力画面の表示例

    Predict-SAプログラムのインターフェース画面: 予測された5種の金属材料の腐食速度を示す出力画面の表示例

コロージョンモニタリング

オンライン リアルタイム腐食予測: Predict-RT

石油精製プロセスに特有な腐食をリアルタイムでモニタリングすることは、大変困難なことですが、実現すれば、石油精製プラントの装置に対する設備管理や運転管理に応用することにより、設備の腐食損傷を抑制しつつ、より安全な運転の継続をサポートすることとなります。

Predict-RTは上述の腐食予測ソフトを用いて、予測に必要な情報をDCS、ヒストリアン、分析計システム、サンプリング等から周期的に取得・入力し、例えば分単位で予測を実行することにより、擬似的なオンラインリアルタイム予測による腐食のモニタリングを可能とするものです。

オンラインリアルタイムでの腐食予測により、設備管理や運転管理に対する、以下のような機能が提供されます。

  • 腐食速度、腐食代または配管の厚みに懸念のある場所の通知によるリスクの確認
  • 腐食代が危険な閾値に達する時期を示しつつ、腐食速度を予測することによる検査計画の改善
  • 稼働中のプロセスや系における腐食速度と他のプロセス変数との相関から、腐食を加速するプロセス変数を確認、同変数による腐食損傷を抑制し設備寿命への影響を回避するよう運転条件を変更
  • 原油の蒸留システムの腐食損傷からの安全を確保しつつ、オポチュニティ原油のようなスポット原油の処理を実現

Predict-RT SW (サワーウォーター) : 入力設定画面の表示例

Predict-RT : 腐食予測速度を含むトレンド画面の表示例

Predict-RT : ダッシュボード画面の表示例

Predict-RT : リアルタイムでの装置の状態表示画面の表示例

Predict-RT : 検査計画表示画面の表示例

コロージョンモニタリング トランスミッタ

オンライン リアルタイム トランスミッタ

※ 現在 半導体不足につきトランスミッタの納期は1年以上要する見込みとなっております。

プロセスプラントのオンライン・リアルタイムでの腐食モニタリングのため、リニア分極抵抗法 (LPR)、電気化学ノイズ法 (ECN)、高調波歪解析 (HAD) の3つの手法を利用し、以下の4つの信号を同時出力します。

  1. 腐食速度 – mpyまたはmmpy
  2. 孔食係数 – 無単位
  3. B (Stern-Geary) 定数 – mV
  4. CMI (Corrosion Mechanism Indicator) – 無単位

上記信号をDCS(分散制御システム)に取込むことにより、他のプロセス変数との直接の相関関係を見出すことができます。相関関係より、コロージョン発生の原因や条件を見出すことにより、プロセスプラントの運転方法を変更することで、コロージョンを抑えることができるようになります。また、プロセス変数の境界管理に取込むことにより、例えば腐食速度や孔食係数が閾値を超えた場合、正常運転範囲に戻すことで、プラントのコロージョンによる劣化を管理することができます。見出されたデータより、RBI側への劣化情報のフィードバックが可能となり、その時点での、RBI の見直しが可能となります。コロージョントランスミッタには大きく分けて有線と無線の2種類が用意されており、無線は、ISA100.11aワイヤレスインフラを介して信号を例えばDCS側に送るワイヤレストランスミッタと、自身のメモリーにデータを保存し、IRポートの装備されたPDA等により、蓄積されたデータを読み出すデータロガーが用意されています。

SmartCET5500 (有線) トランスミッタ

CETW6000M-W (ISA100 : 無線) ワイヤレストランスミッタ

CETW6000M-D (配線不要) データロガー