プロセス運転最適化ソリューション

Honeywell Forge Advanced Process Control

Honeywell Forge Advanced Process ControlはDCSレベルの制御ループの改善から工場すべての装置の最適化全てをカバーする高度制御と最適化のアプリケーション群の総称です。Honeywell Forge Advanced Process Controlはユニークな階層的アプローチをとっており、要求される目的・スコープのサイズに最適なソリューションを提供します。多変数モデル予測制御を中核とした高度制御・線形最適化を実現できるのみならず、さらに拡張して非線形制御・多装置最適化・厳密最適化なども必要に応じて実現可能でプロセス収益性向上、安全操業、オペレータの生産性向上を促進します。

Honeywell Forge Advanced Process ControlはHoneywellのDCSシステムであるTDC3000シリーズ・Experion PKSシリーズだけでなく、オープンなWindows環境にも対応しており様々なDCSプラットフォームと組み合わせて使用することが可能です。運転員が操作に使用するクライアント画面はDCS上にカスタムで作成したもの以外にも、標準で準備されるリッチなクライアント Operator Stationや、Webサーバから配信されるWeb Clientなどを用いることが可能です。アプリケーションの開発にはEngineering Studioが準備されており、開発ワークフローに沿ったエンジニアリング作業を容易に行うことが可能です。

Honeywell Forge Advanced Process Controlには組み込みでデータ収集ソフトPHDが準備されており、導入した制御や最適化の標準的なモニタリングは追加のライセンスなど無しで実施可能です。

生産計画・運転統合最適化

Executive

オフラインで大規模に線形計画法を利用して作成される工場の生産計画と、実際に動作している装置の最適化をオンラインで実現している多変数モデル予測制御などのリアルタイム最適化はそれぞれ別個に最適化を実現しています。これらは対象とする最適化のスコープサイズと時間スケールが異なるために、それぞれ別の最適化によるベネフィットを産みだしていますが、連携することでさらなる収益改善につながる可能性があります。生産計画とリアルタイム最適化を結びつけるようなソフトウエアは今まで存在していませんでしたが、ハネウェルはこの領域をカバーする新しいソフトウエア:Executiveを開発してリリースしました。これにより今まで実現が困難だった下記のような領域での最適化が実現可能になりました。

  • ブレンドスケジュールまでも考慮した製品ブレンディング最適化
  • 定期的に発生する分解炉デコーキングなども考慮したエチレン装置のリアルタイム最適化

Executiveは今までのリアルタイム最適化よりも大きめのスコープ、かつ長い時間スケール、それでいて生産計画として解くには小さめのスコープ、かつ短い時間スケールの最適化問題に対してそのまま有効です。また、将来的にはリアルタイム最適化とオフラインの生産計画最適化をリンクさせ、大きなスコープで真の全体最適化の実現に活用されていくことを想定しています。

多装置ダイナミック最適化

Multi-Unit Optimizer

Multi-Unit Optimizerは装置全体や複数の装置の最適化をリアルタイムベースで実現する革新的な工業プロセスの大規模最適化ソリューションです。Multi-Unit Optimizerは静的な厳密プロセスモデルではなく、下位のProcess Controllerが使用しているプロセスの動的モデルを使用します。この手法によりMulti-Unit Optimizerは動的なつながりも考慮したリアルタイム最適化を少ないエンジニアリング作業で得ることができます。また動的手法を用いているため、静的な厳密オプティマイザと異なりプロセスデータの読み込みなどの際にプロセスが定常状態になるまで待つ必要がありません。また、実行時にはProcess Controllerと協調して最適化を実現するため、運転条件の悪いときでも最適化と制御を継続することが可能です。

さらにMulti-Unit OptimizerをUniSimなどのプロセスシミュレータと結合して厳密最適化の結果を受けたり、内部モデルのゲインをリアルタイムで変更することでリアルタイム非線形最適化へ拡張することも容易です。

多変数モデル予測制御

Process Controller

Process ControllerはHoneywell Forge Advanced Process Controlアプリケーション群の中核をなす多変数モデル予測制御(Multivariable Predictive Controller: MPC)です。多変数モデル予測制御はPID制御が苦手とする、一つの操作により多数のプロセスの状態に影響を与えるような複雑なプロセス、むだ時間や遅れが多いプロセスを良好に制御することが可能です。また複数の装置制約を同時に扱うことができ、同時にリアルタイムの線形最適化を実現することもできます。これらの特徴によりプロセス装置に多変数モデル予測制御を適用すると大きな収益改善を実現することが可能となります。

多変数モデル予測制御では多数の制御対象を多数の操作端を用いて一度に調整します。また制御対象に影響を与えるプロセス条件も外乱として使用することができます。このように3つのタイプの変数が多変数モデル予測制御では使用され、これらはそれぞれ下記のように呼ばれます。

  • 制御変数 (Controller Variable : CV) —品質目標や運転管理値、機器制約などの制御の対象となるプロセス変数
  • 操作変数 (Manipulated Variable : MV) —制御変数を調整するために多変数モデル予測制御が操作する操作対象
  • 外乱変数 (Disturbance Variable : DV) —多変数モデル予測制御は操作しないものの、制御変数に影響を与えるプロセス条件。制御変数の将来挙動の予測に活用

多変数モデル予測制御は内部のダイナミックモデルを利用して、予測と制御と最適化演算を実施し、多数の操作変数を用いて、多数の制御変数を所定の目標内に安定して制御しつつ装置の最適化を実現します。

ハネウェルの多変数モデル予測制御Process Controllerは特許を保有するロバスト多変数モデル予測制御技術 (Robust Multivariable Predictive Control Technique: RMPCT) を使用し、多変数モデル予測制御につきもののプロセスの変化などに伴うモデル誤差に起因する問題を最小化して常に良好な制御性を維持し、また制御解が得られにくい困難な状況においても停止することなく継続して制御を継続するという特徴を有しています。また制御の実行中でも制御モデルの変更が可能なので、さらに高度な制御を構築するためのプラットフォームとして活用することもできます。

Process Controllerは他社製DCSシステム上で使用することが可能ですが、ハネウェル製のExperion PKSであればExperion Profit Controllerを使用することも可能です。Experion Profit ControllerはExperion PKSのコントローラであるC300やACEノード上で実行できるProfit Controllerでまったく同じ機能を有しています。Experionシステムの一部として動作しているため、本来の機能に加えてC300標準の冗長化機能の利用や、実行周期の短い制御を実現することが可能になります。なお実行できるProcess Controllerの数やサイズにはハードウエア上若干の制約があるので、ミッションクリティカルな小規模・中規模制御で活用します。

Control Modeler / Stepper

多変数モデル予測制御の構築・改造の際に必要となるステップテストは非常に手間と時間がかかります。Control Modelerはステップテストを自動で実行することで、これらのステップテストの問題を解決します。また優れた閉ループ同定機能を用いることで、開ループテストだけでなく、閉ループテストを実現します。この機能を用いることで、すでに構築されているProcess Controllerの制御を継続した状態でのステップテストも可能となっています。そのためステップテストの際に常に監視が必要な通常運転からの逸脱を気にかける必要が大きく減少しています。またステップテストはProcess Controllerの標準クライアントOperator Stationからいつでも停止が可能です。さらに自動モデル同定機能により、ステップテスト中に同定モデル品質の確認ができ、良好なモデルが得られたらステップテストの終了を促します。Control Modelerは新規のモデル構築のみだけでなく、既存のモデルの改良の際に非常に有効です。また標準で付属するPHD上に蓄えられたヒストリーデータからモデルを作成する機能も搭載され、場合によってはステップテストそのものも実施する必要がない場合もあります。

UniSim Optimization Suite

UniSim Optimization SuiteはProcess ControllerやMulti-Unit OptimizerなどとプロセスシミュレータUniSimを組み合わせて使用するためのパッケージで、UniSimと制御のオンライン環境の接続を実現します。UniSimは制御・最適化のために厳密な最適解の導出、プロセスゲインのスケジューリング、物性推算などに用いることができます。

性状推算

Inferentials / SensorPro

Inferentials / SensorPro は性状推算モデル(ソフトセンサー)を作成するためのデータ分析と回帰分析ツールです。作成した性状推算モデルをProcess Controllerの制御変数として使用することで、プロセス制御と最適化の向上をもたらします。また、単にソフトセンサーとしてプロセス監視に用いることもできます。性状推算モデルの作成には下記の下記の統計モデルが使用可能です。

  • 最小二乗法
  • 重み付き最小二乗法
  • 部分最小二乗法
  • ユーザー定義関数
  • 動的部分空間モデル

作成されたモデルはHoneywell Forge Advanced Process Controlのオンライン実行環境に容易に構築することができます。さらに、組み込みのラボ・アップデートシステム、アナライザー・アップデートシステムを用いることで、オンラインで長期に渡って精度の高い性状推算モデルを維持します。またこれらのアップデートではCUSUMを用いた統計的な処理により必要なバイアスのみのアップデートを容易に実現可能です。

プロセス計算: UOP Toolkit

Profit Toolkit: UOP Toolkit

UOP ToolkitはHoneywell UOPプロセスのために特別に準備された計算ツールキットです。このツールキットによりUOPが提供しているプロセス計算をオンラインでそのまま実現し、制御や最適化に活用することが可能になります。現在では下記の装置のためのツールキットが使用可能です。

  • CCR Platformer: CCRプラットフォーマー (連続触媒再生式改質器)
  • Isomer: アイソマー (キシレン異性化装置)
  • Tatoray: タトレー (芳香族不均化装置)
  • Oleflex: オリフレックス (プロパン脱水素プロピレン製造装置)
  • Hydroprocessing: 水素化精製・水素化分解

Platformer Performance Solution Toolkit

Platformer Performance Solution ToolkitはCCRプラットフォーマー装置向けのプロセス計算を高度制御での活用を目的としてオンラインで実現します。このツールキットでは下記のプロセス計算結果を提供します。

  • 加熱炉チューブ表面温度
  • 製品オクタン価
  • 製品芳香族
  • リアクターコーク沈着予測
  • リジェネレータ―触媒上のコークまたは最低酸素濃度 (温度プロファイル最適化のため)
  • 触媒ピニングマージン

これらのプロセス計算結果を多変数モデル予測制御Profit Controllerの制御変数として使用して最適化を実施することでCCRプラットフォーマーの最適運転が実現できます。

Isomer Performance Solution Toolkit

Isomer Performance Solution Toolkitはキシレン異性化装置の異性化反応計算を高度制御での活用を目的としてオンラインで実現します。

Tatoray Performance Solution Toolkit

Tatoray Performance Solution Toolkitは芳香族不均化装置の不均化反応計算を高度制御での活用を目的としてオンラインで実現します。

Oleflex UOP Toolkit

Oleflex UOP Toolkitはオリフレックス装置の反応計算を高度制御での活用を目的としてオンラインで実現します。

Hydroprocessing UOP Toolkit

Hydroprosessing UOP Toolkitは水素化脱硫・水素化分解装置の反応計算を高度制御での活用を目的としてオンラインで実現します。