【ポイント】
- PIDループや高度制御の性能は計器の経年劣化や運転環境の変化により最適状態から次第に離れて行く
- そこで、監視と診断を自動で行うソリューションにより制御のCBM(状態基準保全)を実現する
プラント操業の安定化と収益性の確保のためには、PIDループや最適化ソリューションなどの制御性を良い状態に維持することが必要です。高い制御性を維持するためには、機器の保全と同様に制御ループにもCBM (状態基準保全) のアプローチで望むことが効果的です。ハネウェルのオンライン・モニタリング・ソフトウエア:CPMが制御のCBM実現をサポートします。
目次
継続監視 + 自動診断 → CBM(状態基準保全) へ
PID制御は運転を自動で安定化するために用いられますが、チューニングによっては整定しないことやむしろ不安定になる場合があり、また制御弁が劣化することでも制御が振動状態に陥ります。これらの事情により自動制御をあきらめて、運転員が制御弁の開度を調整して運転することもあります。収益改善を目的として採用した最適化手法においても、導入ソリューションの性能によっては挙動が不安定になることや想定とは異なる方向に向かって制御することがあり、これも最終的には使用を停止する場合があります。つまり、一般的な機器と同様に、制御についても適切なタイミングで正しい保守を行わないと収益効果を失っていきます。
制御性能を維持する手法として、性能低下が顕在化した制御ループへの事後対処ではなく、定期的にデータを収集して解析・評価・対処する予防的な取り組みも行われています。この場合にも全ての制御を短い間隔で処理していくためにはリソースの確保が課題となります。制御性能監視用のオンラインソフトウエアを使用すれば、上に挙げた従来の手法における課題が解消されます。制御性能の継続的な監視と評価、さらに制御性に問題があるループの抽出までが自動化されれば、タイムリーに性能回復を図ることで収益ロスを回避する、つまり制御ループの状態基準保全が実現できるようになります。
CPM: Control Performance Monitoring
CPM: Control Performance Monitor (コントロール・パフォーマンス・モニター) は、プラント制御の基本となるPIDループやリアルタイム最適化を行う多変数モデル予測制御について、そのオンラインモニタリングを行うハネウェルのソフトウエアです。
- DCSベンダーや多変数モデル予測制御ベンダーを問わず制御監視の自動化が可能
- 個別ループには複数の指標に基づいた評価と診断機能により必要な対処法を提示
- プラント全体さらには企業全体の制御情報を一元化、総合的な評価とドリルダウンによる個別の問題解決に対応
- 場所や時間を制約しないウェブベースのインターフェース
- 制御の状態基準保全を実現、常に適切な制御性を維持して高い収益性を維持
CPMファミリーには次のような製品があります。
CPM Standard
CPM スタンダード
DCSや最適化ソリューションのベンダーに関係なく、複数の制御システムとの接続が可能です。そのため複数プラント・工場全体・全社規模の大規模なスコープで制御のオンライン監視が実現します。多数の異なる制御を同じ手法で評価・診断することが可能になり、作業も効率化します。PIDループの制御性能だけでなく,多変数モデル予測制御の性能も監視できます。
CPM CX
CPM CXはCPM Standardの軽量版です。単一のOPCサーバに接続してPIDループのオンライン監視を実現します。自動監視の開始までのリードタイムを短縮します。CPM Standardへのアップグレードもサポートします。
CPM in the Cloud
CPMイン・ザ・クラウド
ハネウェルの多変数モデル予測制御Profit Controllerのために準備されたクラウド環境上の監視ソリューションです。制御性の監視を行うCPM Standardに対して、CPM in the Cloudは最適化結果の監視を目指しています。ここでは機械学習を用いたデータ解析などの先進の技術を実現するためにクラウド環境を使用します。
制御性能をチェックする 診断&改善サービス
ハネウェルでは、ソフトウエアの提供や導入サポートだけではなく、CPMを用いたPIDループの性能診断や、PIDチューニングなどの改善サービスもオプションとして提供しています。
- PIDループ診断
- PIDチューニング
- PID診断トレーニング
- 制御構成コンサルテーション
ケース・スタディ
- 複数のサイトやプラントでの評価・診断手法の標準化と性能劣化の早期発見
Saudi Aramco社では多くのPID制御や高度制御が適正なモードで使われていませんでした。また制御ループの性能を維持するための標準的なワークフローは存在していませんでした。CPMを導入により、そのダッシュボード機能から複数のサイトをまとめて監視できるようになりました。PIDループの運用モードが適正化され、高度制御の稼働率も大きく向上しました。