蒸留塔ユニットが収束しない場合は、何らかの原因が必ずあります。その一つに、実現不可能なスペックを与えている場合があります。
例えば、フィード量1000 kg/hに対して、下記のように抜出量を合計1210 kg/hなどとしている場合です。これは実際にはありえない物質収支です。
蒸留塔のスペックは、還流比や抜出量、組成指定、リボイラーやコンデンサーなどの交換熱量などいろいろ指定できますが、常に、そのスペックは実現可能かどうかをちょっと考える必要があります。これは基本的なことですが、案外見落としが多いです。
下記の例も実現不可能な一例です。
水-エタノール (常圧) の場合、共沸が起こっており1本の蒸留塔ではエタノール濃度を85%以上には濃縮することができません。ここで蒸留スペックとして、エタノール濃度95%と指定しても、絶対に蒸留塔は収束しません。実現不可能なスペックだからです。