ハネウェルはアラーム管理の規格に準拠した効果的なアラーム・システムの構築と維持・管理をサポートするソフトウエアを提供しています。また、ASMコンソーシアムの活動を通して得た知見などをもとに、アラーム管理のライフサイクル全域に及ぶコンサルテーション・サービスも行っています。アラーム管理のソフトウエアとサービスの提供を通じて、プラント操業の安全性と信頼性向上をお手伝いします。

アラーム管理とは

アラーム・システムは、複雑なプロセスを操業していく上で、オペレータが注意を払う必要があるプロセス条件の異常・変化を通知・警告するために使用されます。 しかし、実際には常に期待した成果を挙げているわけではありません。その原因はさまざまであり、アラーム・システムの不適切な設計、 設定根拠が不明確なアラーム設定、変更管理が適用されないアラーム設定条件の変更、オペレータが瞬時に理解できないアラーム情報、通常出ない運転時にみられる対処不能な量のアラーム発報、などが考えられます。これらの問題が解消されないことで、安全操業が実現できず深刻な事態に陥る可能性があります。 プロセスの安全性や信頼性を確保するためには、これらの問題を解消して、効果的なアラーム・システムを維持することが重要になります。この継続的な活動がアラーム管理です。

アラーム管理に関する規格やガイドライン

適切なアラーム管理を行うために、次のようなガイドラインや規格が発行されています。

ISA 18.2やIEC 62682などの標準的な規格では、アラームの優先度 (プライオリティ) 付けやアラームの状態の表示方法など、既存のシステムではもはやカバーできない規定があります。 新規システムではその設計時に、既存システムに対してはタイミングを規定して、それぞれ準拠すること、としています。

アラーム管理のライフサイクル


アラーム管理では、高機能なアラーム・システムの導入・設定や一過性のアラーム削減活動ではなく、アラーム・システムをどのように維持・管理していくかに主眼がおかれています。 効果的なアラーム・システムを維持していくために必要な活動として、これをISA 18.2ではアラーム管理のライフサイクルとして左図のようにまとめています。IEC 62682でもほぼ同じものが規定されています。以前から日本では、オペレータ負荷の低減や安全性向上を目的としてアラーム発報数の削減活動に取り組まれてきました。 ここに示した国際規格のアラーム管理ライフサイクルでは、従来からのアラーム発報数の適正化を一部として、より包括的な活動を規定しています。

ライフサイクルの中には、アラーム管理に関する指針 (Alarm Philosophy) を制定するステップがあります。アラーム指針では、ライフサイクル自体を規定するほか、用語の定義、評価指標とその値、責任所掌、変更管理、システム保守の手法などを項目を規定します。

ライフサイクルの運用は、サポートするソフトウエアを使用することでそのステップを正確かつ短時間で効率的に実行できます。

Honeywell Forge Alarm Management

ハネウェルのアラーム管理ソリューション

Honeywell Forge Alarm Management は、ハネウェルの20年以上にわたるプロセス産業におけるアラーム管理の経験をもとにデザインされたアラーム管理ソリューションです。 このソリューションを活用することで、アラーム発報数を最大80%低減し、また問題の特定や緊急対応が必要な重要アラームの可視化を強化します。
アラーム・システムの状態を一目で把握できるダッシュボード画面は、職務 ごとに内容を設定してオペレータ・ エンジニア・マネージャーがそれぞれの職務に合った内容を表示できます。

Honeywell Forge Alarm Management は下記のソフトウエアで構成されています。

  • Reporting / M&R (レポーティング)
    制御システム上で発生するアラームとイベントのレポートを作成します。レポートはWeb上または表形式で表示します。ISA 18.2、IEC 62682やEEMUA 191などで示されるアラーム・システムの指標にもとづいて実際のシステムの状態を把握することができます。アラームとイベントのオンライン・データを自動で収集して保存しており、リアルタイムでレポートを作成することが可能です。例えば毎日の朝礼に、前日のアラームの状況やアラームデータを用いたトラブル解析を報告している取り組みも行われています。 オフラインのデータを扱うことも可能ですので、過去のデータを使用した解析もできます。

  • Alarm Performance Optimizer / D&E / ACM (アラーム・パフォーマンス・オプティマイザ)
    アラーム情報を一元化するマスター・データベース (アラーム・ドキュメント) として機能します。 このデータベースの設定内容を利用して、DCSやSCADAなどの制御システム上でアラーム設定が変更されているかどうかを監査します。 必要であれば制御システムのアラーム設定をマスタ―の設定に書き戻します。 また運転モードなどに合わせた制御システム上のアラーム設定の一括切り替えも実現できます。アラーム設定の変更については変更管理の機能も提供します。 アラームヘルプ機能は、Experion PKS上のアラームサマリ画面やフェースプレートなどにアラーム設定値、設定の理由や対処方法などの、データベースが持つアラームの付加情報を表示します。

Honeywell Forge Alarm ManagementソリューションはOPC技術を利用できる制御システムで適用できます。特にハネウェルのExperion PKSに対しては高い親和性があります。 この製品はOPC技術を利用できる制御システムで適用できます。特にハネウェルのExperion PKSに対しては高い親和性があります。

アラーム管理のコンサルテーション・サービス

ハネウェルは1990年代からアラーム管理の重要性を認識しASMコンソーシアムの活動などを通してアラーム管理の調査・研究を実施してきました。 これらの結果は、ASMコンソーシアムのガイドラインとして結実するとともに、EEMUAのガイドラインやISA・IECの規格策定に活用されています。 さらにExperion PKSのアラーム機能やHoneywell Forge Alarm Managementのアラーム管理機能として実装できる形で提供しています。

一方、アラーム管理はマネージメントのサイクルですので、これらの機能を実装すること自体がアラーム管理が実現されたことを意味するものではありません。 そこでハネウェルではASMでの経験などを活かして下記のようなアラーム管理のライフサイクル全域にわたるコンサルテーションを提供しています。 またアラーム管理ソフトウエアのトレーニングはもちろん、アラーム管理プロセスのトレーニングやワークショップも提供しています。

詳しくはこちらをご覧ください。

ケース・スタディ

ホワイトペーパー

Experion PKSの標準アラーム機能

ハネウェルの最新の制御システム:Experion PKSはアラーム管理の規格やアラームのガイドラインなどで要求される様々なアラーム機能を標準で有しています。 Experion PKSのアラーム機能とDynAMo Alarm Suiteのアラーム管理機能を組み合わせることで、アラーム管理の規格やアラーム指針で規定する要求を実現することが可能になります。 Experion PKS Orionの主な標準アラーム機能として以下ものがあります。

  • ASMガイドラインに準拠した運転画面へのアラーム表示
  • アラーム表示のフィルタリング
  • アラーム表示のソート
  • トレンドのようなアラーム表示(アラーム・トラッカー)
  • アセットツリーモデルに基づくアラーム表示
  • アセットツリーモデルに基づくアラームの一括有効/無効化(スタティック・アラーム・サプレッション)
  • アラームへのコメント書き込み
  • アラーム・グループ
  • アラーム・デッドバンド
  • アラーム・デバウンス・タイマー
  • アラーム・イベントのデータ保存
  • アラーム・シェルビング
  • ダイナミック・アラーム・サプレッション
  • OPC A&Eサーバ
  • OPC A&Eクライアントによる他のOPC A&Eサーバとの接続

Experion PKSの詳細情報については下記の記述を参照、もしくは日本ハネウェルに直接お問い合わせ下さい。

Abnormal Situation Management (ASM)

ASMコンソーシアムではプラントの異常状態管理を目的に様々な調査・活動を実施してきました。ハネウェルもASMコンソーシアムメンバーの一員として これらの活動に協力するとともに、ASM活動によって得られた知見をソフトウエアやソリューションの形で提供しています。