定常シミュレータは、基本的に、連続運転プロセスを想定しており、逐次組成等が変化するバッチ操作には対応していない。この場合、バッチ蒸留はどのように計算すれば良いだろうか?

一つの方法として、連続蒸留塔モデルを定常シミュレータ上で作成し、TOPから極微量のガスを抜き出す。 (例えば、原料100kgmolに対して0.1kgmol抜き出す)


この時のボトム組成が、次の蒸留塔のフィードになる訳である。ここで、力技で蒸留塔を100個、1000個並べれば、バッチ蒸留を100分割、1000分割して計算したことになる。


UniSim Designでは、ユニットのコピー&ペーストが可能なので、この方法でも出来ないことはないが、スマートではないし、結果の集計にも手間がかかる。また、各種条件変更(蒸留段数の変更など)の場合も大変である。

従って、Excelなどを使用して、1回目の計算結果(BTM組成など)を読込みで記録し、それを次回計算のフィード組成とする。これを100回、1000回と繰り返すことでバッチ蒸留計算が可能となる。

UniSim Designには、標準でExcelとのインターフェイスが付属しているので、プログラム言語など不要で、アプリケーション間で入出力したいデータを簡単に選択ボタンで指定できる。また、還流比などの運転諸条件も、入出力データとすることができ、いつでも計算途中で変更が可能である。もちろん繰り返し計算も自動で行うことができる。

実際に下記条件でのバッチ蒸留の計算を行ってみた。

== 初期組成 ==
ベンゼン: 30 mol%
トルエン: 14 mol%
p-キシレン: 8 mol%
o-キシレン: 10 mol%
m-キシレン: 38 mol%
常圧・理論段数10段・還流比10

この時の、ボトム組成の変化結果を下記に示す。

このようにバッチ蒸留の組成変化が上手く計算された。この例題では、バッチ蒸留を200分割して計算したが、自分のPCではわずか30秒で計算終了した。

また、他の例ではあるが、あるバッチ蒸留の実測値と計算値を比較してみたところ、100~300分割程度で、十分に実測値と合う結果を得ることができた。

(本サンプルファイルをご希望の場合は、弊社担当者までご連絡下さい。但し、UniSim Designユーザー限定)